数量拾い
数量拾いは、図面や仕様書から面積・長さ・本数・体積などを正確に数え上げる作業です。見積もりや実行予算のいちばんの土台になります。ここでズレると、あと全部がズレます。だから「拾い順」「ルール」「根拠メモ」を最初に決めます。
何を数えるの?
・面積(㎡):床・壁・天井・塗装・タイル・防水 など
・長さ(m):巾木・見切り・シーリング・手すり など
・本数・個数(本・個・枚):ドア・金物・器具 など
・体積(m³):コンクリート・土 など
拾い順(基本の5ステップ)
1.前提をそろえる:図面一式・仕上表・縮尺・改定履歴・注意書き
2.範囲を決める:建築のみ/設備は除外 など“できる・できない”を明記
3.拾い順を固定:フロア → 部屋 → 工種 → 項目(※毎回同じ順番で)
4.集計する:Excelや専用シートに入力(自動計算で人為ミスを減らす)
5.別目でチェック:二重計上・控除漏れ・図面差替えの影響を確認
ルール(ここだけは決めておく)
・単位:面積は㎡、長さはm、体積はm³で統一
・端数処理:小数第2位で四捨五入(例)など、全ページ同じに
・開口控除:窓・ドアなどは面積から差し引く(控除方法を明記)
・メモ:前提・計算式・除外条件は拾い表の先頭に残す
具体例(イメージが湧く計算)
・例1:壁タイルの正味面積
部屋:5.2m × 4.8m、天井高 2.4m
窓:1.2m × 1.0m が2枚、ドア:0.9m × 2.0m が1枚
壁面積(控除前)= 周長 × 高さ = {2×(5.2+4.8)=20} × 2.4 = 48.0㎡
開口部面積 = 窓 1.2×1.0×2=2.4㎡ + ドア 0.9×2.0=1.8㎡ → 合計 4.2㎡
正味面積=48.0 − 4.2=43.8㎡
・例2:床スラブのコンクリート体積
スラブ:6.0m × 8.0m、厚さ 150mm(=0.15m)
面積 = 6.0×8.0 = 48.0㎡
体積 = 48.0 × 0.15 = 7.2m³
・例3:タイル枚数の概算(600角)
施工面積:30.0㎡、タイル1枚の面積=0.6×0.6=0.36㎡
必要枚数(理論)= 30.0 ÷ 0.36 = 83.33…枚 → 84枚に切り上げ
予備(5%)を加味 → 84 × 1.05 = 88.2枚 → 89枚を手配目安に
できる/できない(線引き)
・できる:建築(意匠・構造・仕上)の数量拾い、変更差分の再拾い、注記整理
・できない:単価の確定(値入れ)、購買・交渉、設備詳細の積算(※別相談)
よくある失敗と対策
・開口控除忘れ/二重計上 → 拾い順を固定、小部屋ごとに完結してから次へ
・図面差し替えの見落とし → 図面名と改定日を先頭シートに一覧/差分は色付け
・単位ミス(mm↔m) → 入力欄に単位を明記、自動換算セルを用意
・範囲の勘違い → 依頼書にできる・できないを太字で明記
・根拠が残っていない → 前提・計算式・写真キャプチャを納品一式に同梱
納品物の例
・数量拾い表(Excel):面積・長さ・本数・体積の各シート
・内訳素案(Excel):科目ごとに数量をマッピング
・前提メモ(PDF/Excel):図面Ver、除外、端数処理、控除ルール
・差分一覧(オプション):変更前後の比較
依頼前チェック(3分チェック)
・最新図面と改定履歴はそろっている?
・建築のみ/設備は含まず、など範囲は明確?
・納期と優先順位(段階納品の要否)は?
・社内書式・科目表・命名は共有できる?
・**NDA(守秘契約)**の要否は?
FAQ
Q1. 途中で図面が差し替わった場合は?
A. 変更前後の差分で再拾いします。追加費用は量に応じてご相談します。
Q2. 社内フォーマットに合わせられますか?
A. 可能です。テンプレや科目表をご提供ください。
Q3. 設備の数量も対応できますか?
A. 原則は建築です。設備は内容により別途相談となります。
Q4. 短納期ですが段階納品は可能?
A. 可能です。優先階・優先室から先行納品します。
Q5. 端数処理はどう決めますか?
A. 基本ルール(例:小数第2位で四捨五入)を合意し、全ページ同じにします。