VE

VEは、求められる機能や品質を保ったまま、材料や工法、納まりを工夫してムダなコストを減らす考え方です。
“値引き交渉”ではなく、設計と施工の知恵で最適化する方法だと思ってください。


何を大切にする?
・機能(強度・耐久・遮音・防火 など)を満たすこと
・品質・見た目を大きく損なわないこと
・安全・法規を守ること
・工期・手戻りを増やさないこと


進め方(6ステップ)
1.目的を決める:何のためのVEか(原価圧縮/納期短縮/維持管理の簡素化)
2.
対象をしぼる:金額が大きい/数量が多い/変更の影響が小さい所を優先
3.代替案を出す:材料・工法・納まりの複数案(最低2~3案)
4.比較表を作る:初期コスト・工期・性能・見た目・維持費を横並び比較
5.関係者と合意:設計者・発注者・施工者で機能とリスクを確認
6.根拠を残す:数量・単価・歩掛・図面の根拠と日付を記録(後で効く)


計算例(数字でイメージ)
例:外装タイル → 高耐候塗装(壁 600㎡)
・変更前(タイル):材料5,500円/㎡+手間2,200円/㎡=7,700円/㎡
・変更後(塗装):材料1,800円/㎡+手間1,700円/㎡=3,500円/㎡
・初期差額(減)=(7,700−3,500)×600=2,520,000円 減
・付帯(下地調整増):300円/㎡×600=180,000円 増
・純減=−2,520,000+180,000=−2,340,000円
留意:耐久・再塗装周期を確認(長期の維持費も比較)
例(長期の見方)
・A案:床タイル 初期 9,000円/㎡、維持費ほぼゼロ → 20年合計 ≒ 9,000円/㎡
・B案:LVT 初期 6,000円/㎡、10年目に補修1,200円/㎡ → 20年合計 ≒ 7,200円/㎡
→ 初期も長期もB案が有利。ただし意匠・床衝撃音・耐久を満たすか要確認。


できる/できない(線引き)
・できる:代替案提示、概算効果の試算、図面・仕様の調整提案、見積査定との連動
・できない:品質を落とす安易な置き換え、法規・安全を無視した案、関係者の合意なしでの決定


メリット / デメリット
メリット
再現性のあるコストダウン(根拠ありで説明しやすい)
工期短縮や施工性アップにも効く
将来の**維持費(LCC)**まで含めれば“賢い選択”ができる
・デメリット
調査と合意形成に手間がかかる
変更範囲を誤ると**波及(別工種の増加)**が出る
意匠・ブランド要件と衝突することがある
→ 対策:範囲を限定、影響工種をリスト化、意匠・法規の最終チェックを必ず。


よくある失敗と対策
・初期費用だけで決める
 → ライフサイクルコスト(維持・更新)で比較。
・下地・納まりの波及を見落とす
 → 付帯(シーリング、役物、下地調整)を別行で試算。
・根拠が残らない
 → 代替案ごとに数量・単価・歩掛・図面No・日付をメモ。
・関係者の同意が曖昧
 → 合意欄(誰が/いつ承認)を書面で残す。
・“安くなったが品質NG”
 → 機能要件(防火・遮音・耐久)を事前に箇条書きで固定。


比較表の最小テンプレ(コピペOK)
・項目             
    | 現行仕様      | 代替案1            | 代替案2
・初期コスト    | 9,000円/㎡  | 6,000円/㎡     | 6,800円/㎡
・工期       | 基準         | -2日            | -1日
・機能/品質   | 基準満足    | 満足                  | 満足
維持費(20年)     | 0                     | 1,200円/㎡     | 600円/㎡
意匠                     | タイル調    | 目地見せ塗装 | 600角調シート
総合評価             | -                      | ◎                      | ○
根拠/注記           | 図No./日付/見積No./歩掛


チェックリスト(決める前に7つ)・機能要件を満たしている(防火・遮音・耐久・安全)
・初期+維持費で比較(年数を決める:例20年)
・数量・単価・歩掛の根拠が明記されている
・付帯工種(下地・シーリング・役物)を含めて試算済み
・工期・段取りへの影響を見た
・意匠・ブランドの許容範囲を合意
・承認者・日付が記録されている


FAQ
Q1. どこから手を付けると効率的?
A. 金額の大きい順/数量の多い順/施工が難しい箇所から。3案出して比較が基本です。
Q2. “安くなるけど見た目が…”という時は?
A. モックアップやサンプルで確認。意匠側のOKが無ければ進めません。
Q3. 工期短縮を目的にしても良い?
A. OK。VEの目的はコストだけではないです。工程・人員・手戻りまで含めて総合判断します。
Q4. どこまで書類を残すべき?
A. 比較表・根拠メモ・承認記録は必須。後日の説明・検査で効きます。
Q5. 誰が最終決定しますか?
A. 発注者・設計者・施工者の合意で決めます(社内だけで決めない)。